化粧品の処方開発において、成分を減らすことは、増やすことより難しい。これは、10年間処方開発に携わってきた私(中村 葵)が、ずっと向き合ってきた問いです。なぜ難しいのか、そしてKelp Whisper Groveがどのようにその課題に向き合っているかを書きます。
なぜ市販品は成分が多いのか ¶
市販のスキンケア製品の成分表には、20〜40種類の成分が並ぶことが珍しくありません。その多くは、防腐剤・乳化剤・増粘剤・香料・着色料です。これらは製品の安定性・使用感・見た目を保つために必要とされています。成分を減らすと、これらの機能を別の方法で補う必要があり、処方設計が複雑になります。
防腐剤なしで安定性を保つ方法 ¶
Kelp Whisper Groveの製品は防腐剤を使用していません。代わりに、水分活性を下げること(グリセリンの活用)と、製造環境の徹底した管理で安定性を確保しています。また、製品の使用期限を開封後6ヶ月と短めに設定しています。少量生産であることも、在庫が長期間滞留しないという意味で安全性に貢献しています。
乳化剤なしのクリームは作れるか ¶
昆布洗顔料 No.1はクリームタイプですが、合成乳化剤を使っていません。昆布エキスに含まれるアルギン酸が、天然の乳化補助として機能しています。ただし、合成乳化剤ほど安定した乳化は得られないため、使用前に軽く混ぜていただくことをお願いしています。これは欠点ではなく、合成乳化剤を使わない選択の結果です。
成分表を読む習慣を持つことの意味 ¶
Kelp Whisper Groveの成分表は、どの製品も5行以内で読み終わります。成分の由来を調べたいと思ったとき、5成分なら調べられます。40成分では、現実的に難しい。成分表を読む習慣を持つことは、自分の肌に何を塗っているかを知ることです。私たちは、そのための製品を作りたいと思っています。
残すものを、どう決めているか ¶
正直なところ、減らせば減らすほど良いとは、私は思っていません。一度、もずくヘアオイルの試作で、乳化を助ける成分をひとつ抜いてみたことがあります。成分表は一行短くなって、自分でも少し誇らしかった。けれど三週間ほどで上の層と下の層が分かれてしまい、振っても元に戻らない。結局その試作は、全部捨てました。安定性、防腐、使用感——このどれかを犠牲にして数だけ減らしても、それは引き算ではなく、ただの欠陥なのだと、あの時に思い知らされました。
では、残すものをどう決めているか。基準はひとつだけです。「その成分が、なぜそこにあるのかを、自分の言葉で説明できるか」。グリセリンがなぜ要るのか、なぜ食品グレードのものを選んだのか、どこの誰が作ったものなのか。そこまで遡って話せない成分は、たとえ便利でも入れません。全成分の由来を説明できる、というのは、ラベルに刷る言葉ではなくて、お客様に直接お会いしたときに、口で答えられるかどうか。私にとっては、そういう自分への問いなのです。
少成分処方は、すべての人に向いているわけではありません。即効性を求める方、特定の機能成分を必要とする方には、他の選択肢が合うこともあります。Kelp Whisper Groveの処方が合うかどうか、まずは試していただければと思います。よくある質問もご参照ください。